今日は『ボディーショップ』という化粧品ショップについて書きます。
日本にもあるので、女性の読者は知っているかもしれませんね。
企業の社会責任という観点で、知っている方もいるかもしれません。
そうです。今回は「企業の社会的責任」について、
ボディーショップを例に考えてみたいと思います。
▼シンプルに自然に優しく
1976年、イギリスのアニータ・ローディックという主婦が、自然素材のみを使ったホームメイドの化粧品ショップを出したのが始まりです。今では、日本を含む世界50カ国に、2000近くが出店しています。
ボディーショップはいろんな良いことをしてます。
まず製品はすべて自然素材のみを使っています。
化粧品は毎日肌につけるもの。だから、体にいいものを。
また、過剰な包装はせず、詰め替えできるようにしています。
シンプルで、環境にも優しく、お手ごろな値段で化粧品を買ってもらおうという気持ちです。
「美」に対する考えも独特です。
きれいに「化ける」ために化粧するのではなく、自分らしさ、そのままの自分の美しさを表現するために化粧をするのだと。だから、ポスターなどの広告も、美女を強調するのではなく、「自分らしさ」を訴えるものになっています。
▼動物実験は禁止
一般に、化粧品を作る工程では、動物実験をします。
ウサギの目にシャンプーを入れたり、マウスに口紅を食べさせたり、動物の肌の毛を剃って石鹸を塗ったり……。
ボディーショップの製品には、動物実験は一切行われていません。
動物愛護の国イギリスならではですね。
▼途上国の援助も
「途上国には援助より、仕事をあげよう」──。
そんなモットーにもとづいて、ボディーショップでは、原料の多くをアフリカなどの途上国から輸入しています。それも安く買い叩くのではなく、彼らの生活向上に役立つような値段に設定しています。
いわゆるフェアトレードというやつです。
ボディーショップが唱える「コミュニティトレード」では、継続的な公正な取引を通じて、女性、先住民、小規模農家の支援や教育・医療の援助も含め、原料入手元のコミュニティの経済的自立をアシストしています。
★
ここまで来ると、国際機関か、NGOか、といった感じですね。
自社の利益だけでなく、環境や人権、地域貢献にも配慮する。
ボディーショップ以外にも、企業の社会責任という分野で世界の先陣を切っている会社にアイスクリームのベン・アンド・ジェリー、衣料品のパタゴニアなどがあります。パタゴニアでは製品価格の1%を、「地球税」としているんです。
しかし、いいことばかりではありません。
「企業」という看板が付いているかぎり、利益はやはり大切なもの。
次回は、ボディーショップが企業として直面する現実も見ながら、
企業の社会責任についてもうちょっと考えてみたいと思います。
それでは次回をお楽しみに! ^0^/~~~
前回はボディーショップの功績について書きました。
良いこと たくさんしてますよね。
でも、今日はちょっと現実的にボディーショップを見てみたいと思います。
▼いつも同じ面々の大御所
前回に最後に、ボディーショップ以外にも、社会的責任を果たしてしている企業として、アイスクリームの「ベン・アンド・ジェリー」、衣料品の「パタゴニア」なんて挙げました。その他にも、家庭菜園のスミス・アンド・ホーケンなんかも、よく出てきます。
けれど、『企業の社会的責任』というと、いつも同じような少数の会社して出てこないのです。
日本でも最近「企業の社会的責任」という言葉がキーワードになりつつあります。多くの会社が植林プロジェクトや、途上国支援といったことをするようになりました。でも、ボディーショップみたいに徹底しているところはまだないと(私は)思います。
▼企業は企業
ボディーショップの「援助より仕事を」というスローガンにもとづいた途上国でのコミュニティトレードはとても意義のあることです。
でも、ボディーショップがこのコミュニティトレードから仕入れている原料は、実は、全体の1%もないのです。
それから、ボディーショップ自身は動物実験をしていなくても、外部から原料を仕入れているものには、動物実験が行われているとも批判されたことがありました。(現在はどうなっているかわかりませんが)
また、近年ボディーショップの売上は下がっています。
そのひとつの理由として、他社もボディーショップの戦略を真似て、自然志向になってきたからです。
他社は、今までの大量生産のシステムを生かし製品の価格を低く抑えたまま、自然志向をアピールし始めたのです。
「自然志向」「自分らしさ」のアピールという点で、他社との差別化がしにくくなってきてしまったのです。
創始者のアニータ・ローディックはこの業績悪化を受け、最近、今までの役職を下ろされてしまいました。
そして新しい経営陣は、社会貢献としての活動は続けるものの、その全体に占める割合は減らすことにしました。
▼日本のボディーショップ見学
日本には2002年の時点で107店舗があります。
ある友人の話では、動物実験反対やコミュニティトレードといった社会貢献の表示をあまり見なかったとのことです。
実際、ボディーショップのウェブサイトを英語のものと日本のものを見比べてみましたが、英語のトップページには
・Against Animal Testing
・Support Community Trade
・Defend Human Rights
なんてアイコンがあったんですが、日本のものにはありませんでした。
→英語のサイト
http://www.thebodyshop.com/
→日本のサイト
http://www.the-body-shop.co.jp/
とはいうものの、百聞は一見に如かず。
きのう、東京・上野のボディーショップに実際に行ってきました。
そうしたら、結構見つけましたよ!
社会貢献のポスターなどが大きく貼ってあるわけではないけれど、目を凝らしてみると、随所にキーワードが隠れていました。
・広告にはやはり「美女」をイメージしたものは使われておらず、自然志向のイメージが貫かれていました。
・イタリアからの製品には何の表示がなくても、ニカラグアからの製品には「コミュニティトレード」のマークがありました。
・製品パンフレットの裏表紙には、一通り「動物実験反対」「コミュニティトレード」などと、英語のウェブページで見たアイコンが載っていま
した。
・卓上カレンダーくらいの大きさで、コミュニティトレードの紹介がされていて、買い物カゴの下敷きには、「Stop Animal Testing」とでっかくありました。
・キャッシャーには、エイズ撲滅活動のシンボルである赤いリボンのバッヂが、その横には途上国のエイズ撲滅プロジェクトに書かれたコンドームが売られていました。
・そのさらに横には、募金とするための使い捨て磁気カードの収集ボックスがありました。
さて、今度ボディーショップで買い物をするみなさん、こうした隠れたキーワードを探してみてください。
▼グリーンワッシュに気をつけよう!
今回は、ボディーショップの経営的な現実についても触れました。「企業」という性格上、やはり利益が何よりも大切です。
それは否定しません。
しかし、今後消費者の企業に対する目はもっと鋭くならなければならないと思います。
「私たちは環境保護に貢献しています」
「途上国に支援しています」
そんな企業の広告を見たときこそ、疑ってかかるくらいの気持ちがなければならないと思います。
・企業のイメージアップだけの戦略であったり
・実際は全利益の中のほんのわずかだったり
・そのプロジェクトだけは赤字だったり
環境問題に対して、企業が見せかけだけの広告戦略を行うことを「ブレインワッシュ(洗脳)」にかけて「グリーンワッシュ」といいます。
みなさんもグリーンワッシュされないように気をつけましょう!
=おわり
◆References:
--Tom Athanasiou (1996). Divided Planet. Boston: Little, Brown and Company.
--Body Shop Founder Says She Received Bad Advice on Operations. (2002 March 5). <<Knight Ridder Tribune Business News>>
--New blow for body shop. (2002 May). <<Soap, Perfumery, and Cosmetics>>
--The Body Shop founder says being good is good for business. (2003, March 7). <<Business Review>>.
日本にもあるので、女性の読者は知っているかもしれませんね。
企業の社会責任という観点で、知っている方もいるかもしれません。
そうです。今回は「企業の社会的責任」について、
ボディーショップを例に考えてみたいと思います。
▼シンプルに自然に優しく
1976年、イギリスのアニータ・ローディックという主婦が、自然素材のみを使ったホームメイドの化粧品ショップを出したのが始まりです。今では、日本を含む世界50カ国に、2000近くが出店しています。
ボディーショップはいろんな良いことをしてます。
まず製品はすべて自然素材のみを使っています。
化粧品は毎日肌につけるもの。だから、体にいいものを。
また、過剰な包装はせず、詰め替えできるようにしています。
シンプルで、環境にも優しく、お手ごろな値段で化粧品を買ってもらおうという気持ちです。
「美」に対する考えも独特です。
きれいに「化ける」ために化粧するのではなく、自分らしさ、そのままの自分の美しさを表現するために化粧をするのだと。だから、ポスターなどの広告も、美女を強調するのではなく、「自分らしさ」を訴えるものになっています。
▼動物実験は禁止
一般に、化粧品を作る工程では、動物実験をします。
ウサギの目にシャンプーを入れたり、マウスに口紅を食べさせたり、動物の肌の毛を剃って石鹸を塗ったり……。
ボディーショップの製品には、動物実験は一切行われていません。
動物愛護の国イギリスならではですね。
▼途上国の援助も
「途上国には援助より、仕事をあげよう」──。
そんなモットーにもとづいて、ボディーショップでは、原料の多くをアフリカなどの途上国から輸入しています。それも安く買い叩くのではなく、彼らの生活向上に役立つような値段に設定しています。
いわゆるフェアトレードというやつです。
ボディーショップが唱える「コミュニティトレード」では、継続的な公正な取引を通じて、女性、先住民、小規模農家の支援や教育・医療の援助も含め、原料入手元のコミュニティの経済的自立をアシストしています。
★
ここまで来ると、国際機関か、NGOか、といった感じですね。
自社の利益だけでなく、環境や人権、地域貢献にも配慮する。
ボディーショップ以外にも、企業の社会責任という分野で世界の先陣を切っている会社にアイスクリームのベン・アンド・ジェリー、衣料品のパタゴニアなどがあります。パタゴニアでは製品価格の1%を、「地球税」としているんです。
しかし、いいことばかりではありません。
「企業」という看板が付いているかぎり、利益はやはり大切なもの。
次回は、ボディーショップが企業として直面する現実も見ながら、
企業の社会責任についてもうちょっと考えてみたいと思います。
それでは次回をお楽しみに! ^0^/~~~
2003/06/22
前回はボディーショップの功績について書きました。
良いこと たくさんしてますよね。
でも、今日はちょっと現実的にボディーショップを見てみたいと思います。
▼いつも同じ面々の大御所
前回に最後に、ボディーショップ以外にも、社会的責任を果たしてしている企業として、アイスクリームの「ベン・アンド・ジェリー」、衣料品の「パタゴニア」なんて挙げました。その他にも、家庭菜園のスミス・アンド・ホーケンなんかも、よく出てきます。
けれど、『企業の社会的責任』というと、いつも同じような少数の会社して出てこないのです。
日本でも最近「企業の社会的責任」という言葉がキーワードになりつつあります。多くの会社が植林プロジェクトや、途上国支援といったことをするようになりました。でも、ボディーショップみたいに徹底しているところはまだないと(私は)思います。
▼企業は企業
ボディーショップの「援助より仕事を」というスローガンにもとづいた途上国でのコミュニティトレードはとても意義のあることです。
でも、ボディーショップがこのコミュニティトレードから仕入れている原料は、実は、全体の1%もないのです。
それから、ボディーショップ自身は動物実験をしていなくても、外部から原料を仕入れているものには、動物実験が行われているとも批判されたことがありました。(現在はどうなっているかわかりませんが)
また、近年ボディーショップの売上は下がっています。
そのひとつの理由として、他社もボディーショップの戦略を真似て、自然志向になってきたからです。
他社は、今までの大量生産のシステムを生かし製品の価格を低く抑えたまま、自然志向をアピールし始めたのです。
「自然志向」「自分らしさ」のアピールという点で、他社との差別化がしにくくなってきてしまったのです。
創始者のアニータ・ローディックはこの業績悪化を受け、最近、今までの役職を下ろされてしまいました。
そして新しい経営陣は、社会貢献としての活動は続けるものの、その全体に占める割合は減らすことにしました。
▼日本のボディーショップ見学
日本には2002年の時点で107店舗があります。
ある友人の話では、動物実験反対やコミュニティトレードといった社会貢献の表示をあまり見なかったとのことです。
実際、ボディーショップのウェブサイトを英語のものと日本のものを見比べてみましたが、英語のトップページには
・Against Animal Testing
・Support Community Trade
・Defend Human Rights
なんてアイコンがあったんですが、日本のものにはありませんでした。
→英語のサイト
http://www.thebodyshop.com/
→日本のサイト
http://www.the-body-shop.co.jp/
とはいうものの、百聞は一見に如かず。
きのう、東京・上野のボディーショップに実際に行ってきました。
そうしたら、結構見つけましたよ!
社会貢献のポスターなどが大きく貼ってあるわけではないけれど、目を凝らしてみると、随所にキーワードが隠れていました。
・広告にはやはり「美女」をイメージしたものは使われておらず、自然志向のイメージが貫かれていました。
・イタリアからの製品には何の表示がなくても、ニカラグアからの製品には「コミュニティトレード」のマークがありました。
・製品パンフレットの裏表紙には、一通り「動物実験反対」「コミュニティトレード」などと、英語のウェブページで見たアイコンが載っていま
した。
・卓上カレンダーくらいの大きさで、コミュニティトレードの紹介がされていて、買い物カゴの下敷きには、「Stop Animal Testing」とでっかくありました。
・キャッシャーには、エイズ撲滅活動のシンボルである赤いリボンのバッヂが、その横には途上国のエイズ撲滅プロジェクトに書かれたコンドームが売られていました。
・そのさらに横には、募金とするための使い捨て磁気カードの収集ボックスがありました。
さて、今度ボディーショップで買い物をするみなさん、こうした隠れたキーワードを探してみてください。
▼グリーンワッシュに気をつけよう!
今回は、ボディーショップの経営的な現実についても触れました。「企業」という性格上、やはり利益が何よりも大切です。
それは否定しません。
しかし、今後消費者の企業に対する目はもっと鋭くならなければならないと思います。
「私たちは環境保護に貢献しています」
「途上国に支援しています」
そんな企業の広告を見たときこそ、疑ってかかるくらいの気持ちがなければならないと思います。
・企業のイメージアップだけの戦略であったり
・実際は全利益の中のほんのわずかだったり
・そのプロジェクトだけは赤字だったり
環境問題に対して、企業が見せかけだけの広告戦略を行うことを「ブレインワッシュ(洗脳)」にかけて「グリーンワッシュ」といいます。
みなさんもグリーンワッシュされないように気をつけましょう!
=おわり
◆References:
--Tom Athanasiou (1996). Divided Planet. Boston: Little, Brown and Company.
--Body Shop Founder Says She Received Bad Advice on Operations. (2002 March 5). <<Knight Ridder Tribune Business News>>
--New blow for body shop. (2002 May). <<Soap, Perfumery, and Cosmetics>>
--The Body Shop founder says being good is good for business. (2003, March 7). <<Business Review>>.
この改行は必要→
ボディーショップに見る企業の社会的責任