スポーツはときに、熱狂的になればまるで宗教のようになります。
でも、一方宗教が原因でスポーツができない人たちがいるのです。

イスラム女性もスポーツをしたい!
2006.04.15

▼宗教と法律の狭間で

オランダの学校では、体育の授業のとき、安全上の理由からイスラムの女性がブルカやヘッドスカーフなどをすることを禁止しています。

イスラムの女性は基本的に公の場で顔以外をさらしてはいけません。髪の毛もそのまま出さないようにしています。

国や学校側は水泳のキャップや長いタートルネックの服を着るように勧めていますが、宗教的には「節度がない」と思われてしまい、結局多くの人は体育の授業を欠席してしまうのです


▼だれでもスポーツを


そこで登場したのが”Capsters”。

これはイスラム女性もスポーツに参加できるようなデザインで作ってあるスポーツウェアです。頭をすっぽり囲みながら、とてもファッショナブルなデザインで作られています。

これで国や学校が求める安全性もクリアできるし、イスラムの宗教道徳も守れるということです。

現在、テニス、エアロビ、スケート、アウトドアのそれぞれに4つのデザインがあり、インターネットで売られています。宗教性よりは、ファッションを重視したデザインです。


▼デザインから世界を変える


これを作ったのは、オランダ人のシンディ・ファン・デン・ブレーメンさん。オランダの・アインホーベンのデザインアカデミーを卒業する際、その卒業プロジェクトとして、このCaptersに取り組みました。彼女には毅然とした理想がうかがえます。

「差別は、情報の欠如と無関心から来ているのです。このプロジェクトを通して人々の関心を呼び起こしたいです。こうしてより良い世界を作ることに貢献したいです。そしてそれが私のデザイナーとしての義務だと思っています」

Capstersは彼女一人の独創的に作ったものではありませんでした。
この製品を作るに先立って、彼女は多くのイスラム女性に意見を聞き、またイマーム(イスラム僧・イスラム法学者)と宗教的な面についていろいろアドバイスをもらいました。

彼女はさらに”Sharing Motives”というイスラム女性の頭部を覆うさまざまな服を写真ともに紹介する本を出版したほか、知的なシンポジウムなどにもパネリストとして多く参加してきました。

2004年には名古屋で開かれた国際若手デザイナーワークショップに招かれて訪日しています。

シンディさんにとって、デザインはアートのためのアートではありません。

「デザインとはとても社会に関係するものです。そして社会のさまざまな問題を、『妥協』することにより、今まではとはまったく違ったアプローチで解決する潜在力を持っているのです」

Capstersはこの理念が見事に貫かれた製品です。「デザイン」が世界を変えていくのです。


■References■

●Capstersウェブサイト(販売もこちら)
http://www.capsters.com/

●シンディ・ファン・デン・ブレーメン紹介(国際若手デザイナーワークショップ2004より)
http://www.idcn.jp/powertalk/6/j/panelists.htm

●”Veiling for Integration: A Dutch Designer’s Cause for the Hijab” (IslamOnline.net)
http://www.islamonline.net/English/EuropeanMuslims/
Community/2005/12/02.SHTML


●”A Sporting Chance” (Foreign Policy, Nov/Dec 2004)

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