10/14/2002
▼原発の現場から
平井憲夫さんという人がいる。20年間、原子力発電所の現場で働き、主に現場監督として長く従事してきた。原発の最前線で働きながらも、原発差し止め裁判の証人としても立った。原発の危険性を設計の面から話をする人は多いが、施工や現場の面から語られることはない。自らの思いと現場の真実が書かれたホームページには、「現場を知らないと、原発の本当のことは分かりません」とある。
「原発が安全は机上の話」──。国や電力会社は耐震設計を考えて作っているから安全だと強調する。世間も厳しい検査がされていると信じている(最近は変わってきているが)。しかし実際は溶接が不十分だったり、ヒビが入っていたり、検査がいいかげんだったりするのは、最近のニュースが伝える通りだ。なぜこのようなことが起こるかについて平井さんは、「余りにも机上の設計ばかりに重点を置いていて、現場の施工、管理を怠ったため」と指摘する。日本の原発は設計こそ優秀で、二重、三重に防護され、故障が起こればきちんと止まるようになっている。しかしいくら設計が立派でも、設計通りに造られていなければしょうがない。
「(原発に限らず)ひとむかし前までは、現場作業には、棒心(ぼうしん)と呼ばれる職人、現場の若い監督以上の経験を積んだ職人が班長として必ずいました。職人は自分の仕事にプライドを持っていて、事故や手抜きは恥だと考えていましたし、事故の恐ろしさもよく知っていました。それが10年くらい前から、現場に職人がいなくなりました。全くの素人を経験不問という形で募集しています。素人の人は事故の怖さを知らない、何が不正工事やら手抜きかも、全く知らないで作業しています。それが今の原発の実情です」
今では素人でも造れるように、工事がマニュアル化されるようになったという。図面を見て作るのではなく、工場である程度組み立てた物を持ってきて、現場で1番と1番、2番と2番というように、ただ積木を積み重ねるようにして合わせていく。すると、今、自分が何をしているのか、どれほど重要なことをしているのか、全く分からないままに造っていくことになる。こういうことも、事故や故障がひんぱんに起こるようになった原因のひとつだという。
「皆さんは何か勘違いしていて、原発というのはとても技術的に高度なものだと思い込んでいるかも知れないけれど、そんな高級なものではないのです」
原発は素人によって造られ、定検工事においては、出稼ぎ労働者などがほとんどで、95%が素人だという。いくら素人だとしても、監督や検査がしっかりしていれば問題はないのかもしれない。だが、原発の検査官はほとんどの場合、天下りや特殊法人が担当していて、現場でたたき上げられた職人ではない。
▼増え続ける大事故の可能性
日本の原発は今まで数多くの事故を起こしてきた。それらは事故原因から見れば、スリーマイル島とかチェルノブイリ級の大事故もあった。
ただでさえ地震大国の日本。浜岡原発などは、近いうちに起こると予想されている東海地震震源地の中央に位置するともいわれている。ところが、浜岡原発を動かしている中部電力は、最近まで、原発に危険信号を送っていた地震予知学者に会ったことさえなかった。
今年初め、中部電力の本社から職員2名が、東海地震研究の第一人者である茂木清夫東大名誉教授の自宅を訪れたときのこと。茂木氏は皮肉まじりに「中部電力の人と会うのは、あなた方が初めてだよ」と言った。そして茂木氏が「なんでこれまで一度も意見を聞きに来なかったか」と問うと、「茂木先生にうかがうと、この立地はダメと言われると思ったからかもしれません」と答えたという。
もしそうなら、初めから地震に対する立地条件が悪いとわかったまま、浜岡原発は建てられたことになる。
この狭い日本、原発の数は世界一。地震がなくても、それらがみな不完全な工事によって造られているという現状を考えれば、いつ事故が起きてもおかしくない。
▼原発は必要という神話
「原発反対!」という声が上がるたび、国や電力会社は「原発は安全」とか「電気がなくなったら大変」とか「原発は地球温暖化ガスを出さないから環境に良い」と言う。しかし本当に原発は必要なのか? その問いに直接は答えないとしても、世界の原発事情を知っておく価値はある。
世界の原子力発電容量は1980年代に140%拡大したが、90年代には6%の拡大にとどまった。かつて「計測できないほど安価」になるといわれたこの原子力エネルギーは、今や利用できないほど高価になり、世界では原子力の時代は終わったともいわれている。
ワールドウォッチ研究所所長レスター・ブラウン氏は、著書『エコ・エコノミー』の中でこう述べている。
「原子力発電はもはや経済的に有望なエネルギー源ではなくなっている。アメリカのように電力市場が競争に開放されている国では、もうだれも原子炉の建設に投資しようとしない。原子力発電所の廃炉コスト─場合によっては建設コストにも匹敵する─と核廃棄物の処理コストを含めて費用計算を行えば、原子力発電が経済的にまったく将来性をもたないことは明らかであろう。
ブルガリア、ドイツ、カザフスタン、オランダ、ロシア、スロバキア共和国、スウェーデン、アメリカなど多くの国では、原子力発電所の閉鎖が現在進められているか、または向こう数年以内に閉鎖が予定されている。かつてこのエネルギー源を積極的に促進する政策をとっていた3つの国─フランス、中国、日本─では、原子力発電に対する支持が薄らいでいる。フランスは原発の新規建設の凍結期限を延長した。中国では向こう3年間、原発の増設を認めないという方針を明らかにした。日本がこれまでに強力に推進してきた原発プログラムも難航している。1999年9月に東海村の核燃料加工工場で発生した重大な事故は、原発の安全性に対する日本国民の不安をいっそう増大させた」
仮に廃炉しようとしても、すぐにはできない。まず閉鎖してから数年は、通常通り水と蒸気を循環させ続けないと、放射能が壁をボロボロにして外に漏れてしまう。それだけ放射能が強いから、原発の寿命は10年といわれてきたのに、実際は30年以上稼動し続けている。核燃料の処理もあるし、解体するに当たって放射能のこびりついた廃材をどう処理するか、という問題もある。解体するまでには放射能がなくなるまで50〜300年は監視を続けないといけないし、核廃棄物は何万年も残存する。これが廃炉にかかる莫大なコストといわれるものだ。
神奈川県の川崎にある武蔵工大の原子炉はたった100キロワットの研究炉だが、現在放射能漏れを起こして止まっている。机上の計算では、修理に20億円、廃炉には60億円もかかるといわれている。大学の年間予算に相当するお金をかけても廃炉にはできない。だからまず停止して放射能がなくなるまで管理するしかない。日本には100万キロワット以上の大きな原発がある。そんな大きな原発なら、まさに「莫大なコスト」だ。
原発が地球温暖化ガスを出さないというのも誤解を生む。たしかに発電所の中では石油はあまり燃やしていないから二酸化炭素は出ない。しかし、発電所を建設したり、ウランを掘ったり、そのウランを燃料に加工したりする際に石油を大量に消費している。その分を考えれば、原子力発電所も火力発電所もだいたい同じ分量の石油を燃やしているといわれる。
世界が原子力から卒業しようとしている中で、他の多くの政策と同じように日本はいったん決めたことを途中で止める勇気がないために、原子力政策から脱皮することができない。それどころか逆に推進していく方針だ。現在日本に原発は51基あるが、政府は2015年には70〜80基にまで増やすといっている。その分危険も増していく。
こうした政府の政策に反して、日本の原子力業界は世界の動向を反映してか縮小している。日立と東芝にある原子力部門の人は3分の1に減った。今年2月には、日立製作所と三菱重工業が原子力発電分野の技術開発で手を組んだ。この背景には「原発新設に依然として強い逆風が吹いており、将来市場が縮小しかねない」(電力関係者)との根強い危機感があるためだという。メーカーでさえ、原子力はもう終わりだと思っているのだろう。
加えて、原子力技術の将来を担うはずの大学の原子力工学科に、かつてはそれなりに学生がいたが、今の若い世代はどんどん原子力から離れていく。机の上で研究する学生さえいなくなってしまった。
元原子力局長の島村武久氏は退官後、『原子力談義』という本でこう書いている。
「日本政府がやっているのは、ただのつじつま合わせに過ぎない、電気が足りないのでも何でもない。あまりに無計画にウランとかプルトニウムを持ちすぎてしまったことが原因です。はっきりノーと言わないから持たされてしまったのです。そして日本はそれらで核兵器を作るんじゃないかと世界の国々から見られる、その疑惑を否定するために核の平和利用、つまり、原発をもっともっと造ろうということになるのです」
10/20/2002
▼日本がフランスの核実験に...
原発につきもののプロトニウム。「プルート(地獄の王)」に名前が由来している通り、世界で最も危険な物質といわれる。プルトニウムは、原発で燃やしたウラン燃料の中から取り出されるもので、人工的にしか作れない。この抽出作業を「再処理」といい、日本はフランスに再処理を依頼している。
このプルトニウムが「もんじゅ」には約1.4トンも使われている。長崎に落とされた原子爆弾に使われたプロトニウム約8キロ。原爆、いくつ分?
実は1995年の南太平洋でフランスが行った核実験に、日本のプロトニウムが使われた可能性が大きい。フランスの再処理工場では、プルトニウムを作るのに核兵器用も原発用も区別がない。だから、日本のプルトニウムが、この時の核実験に使われてしまったことはほとんど間違いない。
この可能性を裏付けるのは、日本がこの核実験に反対をきちんと表明しなかったことである。日本とフランスの貿易額で2番目に多いのが、この再処理のお金。だからもし、日本政府が本気でフランスの核実験を止めさせたかったら、再処理の契約を止めればよかった。
日本国民はそれも知らず、唯一の被爆国といいながら、「核実験に反対!」とシュプレッヒコールを上げながら、実は日本のプルトニウムがタヒチの人々を被爆させ、きれいな海を放射能で汚してしまった。
▼命を懸ける原発労働者
日本は広島と長崎で被爆した。だが、原発を造ってからというもの、日本は自ら被曝者を毎日生み出している。
放射能がいっぱいの原発の中で働く人は「防護服」を着用する。しかしこれは放射能から身を守るためではなく、外部に放射能を持ち出さないようにするため。放射能が服に付着し、作業が終わったらその服を徹底的に洗う。放射能は服を通り抜けて体にも付着するから、パンツ一枚になって、体の表面についた放射能も洗い流す。外部被曝をせずに作業はできないのだ。
体の外から浴びる外部被曝も怖いが、内部被曝はさらに恐ろしい。原発の中ではホコリやチリが放射能物質となって飛びかう。この放射能を帯びたホコリが口や鼻から入ると、体の中から直接放射線を浴びることになる。
体の中に入った放射能は、通常は、3日ほどで汗や小便と一緒に出るが、たとえ3日であっても放射能は体の中に居座ったまま。また、体から出るといっても、決してゼロにはならない。どんなに微量でも、死ぬまで体の中に蓄積されていく。
原発の労働現場における日本の放射線管理は、年間50ミリシーベルトを守ればいい、ということになっている。例えば年1回の定検工事は3ケ月ほどかかるが、それを日で割ると、一人一日当たり5〜7分しか作業できない計算になる。しかしそれでは仕事にならないというので、実際には10〜20分といった数日分の量をいっぺんに浴びながら作業をする。もちろんそんなこと絶対にしてはいけないはずだし、白血病やガンになってしまう。だが、電力会社はこういうことを一切教えない。
現在、日本では9万人くらいの人が原発で働いているといわれる。被曝をしながら、日本の電気供給を支えている。原発で初めて働く作業者に対し、放射線管理教育を約5時間かけて行う。この教育の最大の目的は、不安の解消のため。原発が危険だとは一切教えない。「国の被曝線量で管理しているので、絶対大丈夫なので安心して働きなさい。世間で原発反対の人たちが、放射能でガンや白血病に冒されると言っているが、あれは“マッカナ、オオウソ”である、国が決めたことを守っていれば絶対に大丈夫」と、5時間かけて「洗脳」する。
こういう「原発安全」の洗脳を、電力会社は地域の人にも行う。有名人を呼んで講演会を開いたり、文化サークルで料理教室をしたり、カラー印刷の立派なチラシを新聞の折り込みとして入れたりする。だから、事故があってちょっと不安に思ったとしても、そういう安全宣伝にすぐに洗脳されてしまって、「原発がなくなったら、電気がなくなって困る」と思い込むようになる、と前述の平井さんは言う。
平井さんは20年以上、働く人に「オウムの麻原以上のマインドコントロール」をしてきたと告白する。
「何人殺したかわかりません。みなさんから現場で働く人は不安に思っていないのかとよく聞かれますが、放射能の危険や被曝のことは一切知らされていませんから、不安だとは大半の人は思っていません。体の具合が悪くなっても、それが原発のせいだとは全然考えもしないのです。作業者全員が毎日被曝をする。それをいかに本人や外部に知られないように処理するかが責任者の仕事です。本人や外部に被曝の問題が漏れるようでは、現場責任者は失格なのです。これが原発の現場です。
私はこのような仕事を長くやっていて、毎日がいたたまれない日も多く、夜は酒の力をかり、酒量が日毎に増していきました。そうした自分自身に、問いかけることも多くなっていました。一体なんのために、誰のために、このようなウソの毎日を過ごさねばならないのかと。気がついたら、20年の原発労働で、私の体も被曝でぼろぼろになっていました」
平井さん自身、内部被曝を百回以上もして、ガンになってしまったのである。
「ガンの宣告を受けたとき、本当に死ぬのが怖くて怖くてどうしようかと考えました。でも、私の母が何時も言っていたのですが、『死ぬより大きいことはないよ』と。じゃ死ぬ前になにかやろうと。原発のことで、私が知っていることをすべて明るみに出そうと思ったのです」
▼原発は差別を生み出す
最後に、平井さんが書いた文章の最後の部分を、少々長いですが引用します。
〜・〜〜・〜〜・〜〜・〜〜・引用ここから〜〜・〜〜・〜〜・〜〜・〜〜・
日本の原発は今までは放射能を一切出していませんと、何十年もウソをついてきた。でもそういうウソがつけなくなったのです。
原発にある高い排気塔からは、放射能が出ています。出ているんではなくて、出しているんですが、24時間放射能を出していますから、その周辺に住んでいる人たちは、一日中、放射能をあびて被曝しているのです。
ある女性から手紙が来ました。23歳です。便箋に涙の跡がにじんでいました。「東京で就職して恋愛し、結婚が決まって、結納も交わしました。ところが突然相手から婚約を解消されてしまったのです。相手の人は、君には何にも悪い所はない、自分も一緒になりたいと思っている。でも、親たちから、あなたが福井県の敦賀で十数年間育っている。原発の周辺では白血病の子供が生まれる確率が高いという。白血病の孫の顔はふびんで見たくない。だから結婚するのはやめてくれ、と言われたからと。私が何か悪いことしましたか」と書いてありました。この娘さんに何の罪がありますか。こういう話が方々で起きています。
この話は原発現地の話ではない、東京で起きた話なんですよ、東京で。皆さんは、原発で働いていた男性と自分の娘とか、この女性のように、原発の近くで育った娘さんと自分の息子とかの結婚を心から喜べますか。若い人も、そういう人と恋愛するかも知れないですから、まったく人ごとではないんです。 こういう差別の話は、言えば差別になる。でも言わなければ分からないことなんです。原発に反対している人も、原発は事故や故障が怖いだけではない、こういうことが起きるから原発はいやなんだと言って欲しいと思います。原発は事故だけではなしに、人の心まで壊しているのですから。
◆「私、子供生んでも大丈夫ですか。たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ」◆
最後に、私自身が大変ショックを受けた話ですが、北海道の泊原発の隣の共和町で、教職員組合主催の講演をしていた時のお話をします。どこへ行っても、必ずこのお話はしています。あとの話は全部忘れてくださっても結構ですが、この話だけはぜひ覚えておいてください。
その講演会は夜の集まりでしたが、父母と教職員が半々くらいで、およそ300人くらいの人が来ていました。その中には中学生や高校生もいました。原発は今の大人の問題ではない、私たち子供の問題だからと聞きに来ていたのです。
話が一通り終わったので、私が質問はありませんかというと、中学2年の女の子が泣きながら手を挙げて、こういうことを言いました。
「今夜この会場に集まっている大人たちは、大ウソつきのええかっこしばっかりだ。私はその顔を見に来たんだ。どんな顔をして来ているのかと。今の大人たち、特にここにいる大人たちは農薬問題、ゴルフ場問題、原発問題、何かと言えば子供たちのためにと言って、運動するふりばかりしている。私は泊原発のすぐ近くの共和町に住んで、24時間被曝している。原子力発電所の周辺、イギリスのセラフィールドで白血病の子どもが生まれる確率が高いというのは、本を読んで知っている。私も女の子です。年頃になったら結婚もするでしょう。私、子供生んでも大丈夫なんですか?」と、泣きながら300人の大人たちに聞いているのです。でも、誰も答えてあげられない。
「原発がそんなに大変なものなら、今頃でなくて、なぜ最初に造るときに一生懸命反対してくれなかったのか。まして、ここに来ている大人たちは、2号機も造らせたじゃないのか。たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ」と。ちょうど、泊原発の2号機が試運転に入った時だったんです。
「何で、今になってこういう集会しているのか分からない。私が大人で子どもがいたら、命懸けで体を張ってでも原発を止めている」と言う。
「2基目が出来て、今までの倍私は放射能を浴びている。でも私は北海道から逃げない」って、泣きながら訴えました。
私が「そういう悩みをお母さんや先生に話したことがあるの」と聞きましたら、「この会場には先生やお母さんも来ている、でも、話したことはない」と言います。「女の子同志ではいつもその話をしている。結婚もできない、子供も産めない」って。
担任の先生たちも、今の生徒たちがそういう悩みを抱えていることを少しも知らなかったそうです。
これは決して、原子力防災の8キロとか10キロの問題ではない、50キロ、100キロ圏でそういうことがいっぱい起きているのです。そういう悩みを今の中学生、高校生が持っていることを絶えず知っていてほしいのです。
◆原発がある限り、安心できない◆
みなさんには、ここまでのことから、原発がどんなものか分かってもらえたと思います。
チェルノブイリで原発の大事故が起きて、原発は怖いなーと思った人も多かったと思います。でも、「原発が止まったら、電気が無くなって困る」と、特に都会の人は原発から遠いですから、少々怖くても仕方がないと、そう考えている人は多いんじゃないでしょうか。
でも、それは国や電力会社が「原発は核の平和利用です」「日本の原発は絶対に事故を起こしません。安全だから安心しなさい」「日本には資源がないから、原発は絶対に必要なんですよ」と、大金をかけて宣伝をしている結果なんです。もんじゅの事故のように、本当のことはずーっと隠しています。
原発は確かに電気を作っています。しかし、私が20年間働いて、この目で見たり、この体で経験したことは、原発は働く人を絶対に被曝させなければ動かないものだということです。それに、原発を造るときから、地域の人達は賛成だ、反対だと割れて、心をズタズタにされる。出来たら出来たで、被曝させられ、何の罪もないのに差別されて苦しんでいるんです。
みなさんは、原発が事故を起こしたら怖いのは知っている。だったら、事故さえ起こさなければいいのか。平和利用なのかと。そうじゃないでしょう。私のような話、働く人が被曝して死んでいったり、地域の人が苦しんでいる限り、原発は平和利用なんかではないんです。それに、安全なことと安心だということは違うんです。原発がある限り安心できないのですから。
それから、今は電気を作っているように見えても、何万年も管理しなければならない核のゴミに、膨大な電気や石油がいるのです。それは、今作っている以上のエネルギーになることは間違いないんですよ。それに、その核のゴミや閉鎖した原発を管理するのは、私たちの子孫なのです。
そんな原発が、どうして平和利用だなんて言えますか。だから、私は何度も言いますが、原発は絶対に核の平和利用ではありません。
だから、私はお願いしたい。朝、必ず自分のお子さんの顔やお孫さんの顔をしっかりと見てほしいと。果たしてこのまま日本だけが原子力発電所をどんどん造って大丈夫なのかどうか、事故だけでなく、地震で壊れる心配もあって、このままでは本当に取り返しのつかないことが起きてしまうと。これをどうしても知って欲しいのです。
ですから、私はこれ以上原発を増やしてはいけない、原発の増設は絶対に反対だという信念でやっています。そして稼働している原発も、着実に止めなければならないと思っています。
原発がある限り、世界に本当の平和は来ないのですから。
優しい地球 残そう子供たちに
〜・〜〜・〜〜・〜〜・〜〜・引用ここまで〜〜・〜〜・〜〜・〜〜・〜〜・
*平井憲夫さんについて:
1級プラント配管技能士、原発事故調査国民会議顧問、原発被曝労働者救済センター代表、北陸電力能登(現・志賀)原発差し止め裁判原告特別補佐人、東北電力女川原発差し止め裁判原告特別補佐人、福島第2原発3号機運転差し止め訴訟原告証人。1997年1月逝去。
=おわり
◎References:
--原発がどんなものか知ってほしい(平井憲夫)
http://genpatsu_shinsai.tripod.co.jp/hirai/
--原子力発電がなくても暮らせる社会をつくる国民連合HP
http://members.tripod.co.jp/genpatsu_shinsai/
--「エコ・エコノミー」レスター・ブラウン(家の光協会,
2002)
--「環境保護運動はどこが間違っているのか?」槌田敦(宝島文庫社,1999)
--原発震災の経済学─浜岡原発─予想される東海大地震の震源の上に建つ原発(2002/02/05)
http://www.arsvi.com/2000/020205ys.htm
--原発逆風に危機感─重電業界、再編も視野(2002/02/21、時事通信)
--French,
Howard. (2002, September 16) Safety problems at Japanese reactors. [New York
Times]
この改行は必要→
原発はやめたほうがいい──。