傷つくのは兵士ではない、罪もない民衆だ
地雷

2002/04/01

 

カンボジアでの地雷撤去が始まって今年でちょうど10年。だが、400〜600万発といわれる国土に埋まる地雷のうち、まだ3%しか除去されてない状態という。

完全撤去までは30年、あるいは100年以上かかるかもしれないとさえ言われる。

アンコールワットやアンコールトムといった観光名所ではほぼ撤去されているものの、そこを少し外れればもう危険地帯、という状況らしい。


カンボジアといえば、ポルポトの恐怖政治下で人口の約4分の1に当たる200万人が虐殺されるなど、20年もの内戦が終了し、1991年に停戦合意が成立。

翌年、総選挙監視やインフラ整備のため、UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)のもとで、日本は自衛隊を派遣するなど主要な役割を果たした。

自衛隊の青年たちは、手当が1時間で缶ジュース1本分、1分1000円前後の家族への国際電話通話料も自己負担という条件で、危険な地雷処理を行った。地雷除去でなくとも、高田警視と国連ボランティアとして参加した25歳の中田厚さんが命を落とすなど、文字通り命がけの任務だった。



▼毎日70人が被害に



地雷に苛まれているのはカンボジアだけではない。現在、世界中に約1億1000万個の地雷が埋まっていると推定されている。

今注目のアフガニスタン(1000万個)をはじめ、イラク北部(400万個)、ベトナム(350万個)ボスニア・ヘルツェゴビナ(300万個)、クロアチア(300万個)、モザンビーク(300万個)など、世界79カ国にわたり地雷が埋まっている。

国際赤十字によれば、毎日約70人が命を落としたり、手足を吹き飛ばされたりと犠牲になっている。


地雷は国境線沿いなどの農村地域に多く埋設されるため、犠牲者の多くは農業、漁業、牧畜などの力仕事に携わっている人々。手足を奪われることはすなわち働けなくなることを意味する。さらに、農村地域では障害者に対する偏見があり、犠牲者は二重三重に苦しむことになる。



▼「悪魔の兵器」



本来地雷とは、敵方の戦車の侵入を防いだり、自軍の陣地を守るために周りに張り巡らしたりといった、「防御的」で「対戦闘員用」武器である。

しかし、現在世界で何かと取りざたされているのは「対人地雷」である。

対人地雷は殺すことよりも、負傷させることを目的に開発された兵器。負傷した兵士を後方に運んだり、治療やリハビリを施したりと、敵方に時間的、経済的負担を負わせるとともに、周りの目撃者に精神的打撃と恐怖心を植え付ける効果もある。

しかし殺すことが目的でないといっても、地雷を踏んで生き残ることができるのは2人に1人といわれる。


また敵方の経済活動を破壊することも目的にしているため、広場、田畑、水汲み場、木の実や木材を採る山林など、人の集まる場所に多く埋められる。地雷は半永久的に作動するので、戦時中に地雷が軍事基地や最前線に置かれても、戦争が終わってそこが民間人の生活の場になることもある。


そして対人地雷は、兵士・民間人、大人・子供を問わず、無差別に「攻撃」する。だが実際のところ、兵士は訓練で地雷への対処を知っているし、探知する機器も持っている。

だから、犠牲になるのは圧倒的に民間人だ。このような残虐性から対人地雷はしばしば“悪魔の兵器”とも呼ばれている。



▼効果なしの条約



戦争では本来、非戦闘員を無差別に攻撃しないことが国際的なルール。1907年のハーグ条約がすでにそれを定めている。対人地雷の違法性と残虐性から、99年3月1日、対人地雷全面禁止条約が発効した。

対人地雷を製造したり、輸出したり、埋設したりした場合には、罰則が課せられる。日本も加盟しており、政府は予算措置を含めた支援、企業は地雷除去機械の開発などで、先進的な役割を果たしている。


しかし実際は、この条約はほとんど効果を発揮していない。

発効後でさえ、地雷が1つ撤去されている間に、20個が新たに埋められている状況だ。

理由は最大の地雷製造国であり輸出国であるアメリカ、ロシア、中国が条約に参加していないことにある。これらの国に地雷製造を緩める気配はない。

それどころか「無意味な犠牲を減らし、地雷撤去を容易にする」ため、発信機が付いた地雷や時間がくれば自動的に爆発する地雷などを開発し、「信頼性の高さ」をアピールしている。


また、上に挙げた3カ国のほかに、日本の国防に関係の深い韓国、北朝鮮、台湾の合計6カ国が条約に署名していない。そのため一部には「日本だけが地雷を持たなかったら危険だ」とか「条約は市民団体や先進国の“偽善”と“自己満足”に過ぎない」など、日本の条約加盟を疑問視する意見も聞かれる。


さらに、国家間の戦いより、地域レベルの戦いや場所を選ばないテロなどが主流のいまの世界。国家間で結ばれたこの条約では、反政府ゲリラ、テロリストなど国家に属さない組織に効力がない。地雷程度なら、ゲリラでも製造できてしまう。国家間の貿易規制だけでは、対人地雷の使用は到底阻止できない。





それでも日本が条約を破棄して、地雷を使用する必要はないと僕は思うのです。

住民が地雷で命や手足を失い、彼らを助けるため地雷処理にやって来た人まで犠牲になり、それでも地雷は増え続けているのです。

国や民族、宗教、一部の利権のために、どうして罪のない民衆ばかりが被害に遭わなくてはならないのでしょうか。

平和を望む日本なら、今後も地雷撲滅のために貢献してほしいし、僕ら一人ひとりも何かできことがあるのではと思うのです。


2002/04/08

▼先の見えない対人地雷撲滅


対人地雷禁止条約が有用であろうがなかろうが、いまこの時も地雷撤去に命を懸けている人たちがいる。

日本などで撤去用の機械が開発されてはいるものの、まだほとんどが手作業によるもので、危険といつも隣り合わせだ。

5000個の除去につき1人の死者と2人の負傷者が出るというから、年間60名以上が撤去作業中に犠牲になっていることになる。


しかし、地雷は一向に減らないように見える。

年間10万個撤去されるのに対し、毎年200万〜500万個が新たに埋められているのだ。

今後、条約が順守され、新しく地雷が埋められなかったとしても、すべてを除去するのに百年以上かかるといわれているのに、この調子ではいつまで経っても対人地雷はなくならない。


地雷撤去に時間がかかるのはそのコストとも関係がある。地雷の製造技術は時代ともに進歩してきた。大量生産が可能になり、空中散布までできるようになった。現在、地雷一個を作るのに3〜10ドルしかかからない。

一方、地雷を手作業で撤去するのにかかる費用は一個当たり100〜1000ドル。そのほか、被害者の医療やリハビリ、土地の再開発、橋や道路、インフラの復旧整備など、地雷によって受けた被害を修復するのにかかるコストは計り知れない。



▼でも希望は捨てずに


日本政府はいまでこそ地雷撤去支援に積極的だが、NGOの方が撤去に大きな役割を果たしてきた。NGOの専門家は知識、経験とも豊富で、何よりも熱意が違う。そもそも対人地雷全面禁止条約を作ったのはNGOだ。各国の政府が渋る中、NGOはまずカナダ政府を説得し、そして国際条約にまでこぎつけた。

さまざまなNGOが地雷撤去のための募金活動を行っている。

例えば、ピースボートでは、『廃墟からのキックオフ!!』をスローガンに、アフガニスタンの地雷原を子供たちが自由に遊べるサッカー場にしようと、日本全国で「100円キャンペーン」を展開している。100円玉1枚で1平方メートルの地雷原をきれいにできるという。
http://www.peaceboat.org/project/jirai/

オープンジャパンでも「Piece by Piece for Peace: No Land Mines in Earth」と呼びかけたステッカーやポストカードを販売することで、地雷撤去の寄金を運営している。ウェブサイトには「現在の地雷撤去基金」が表示されており、今日の確認時点で3,753,594が集まっていた。
http://www.peace2001.org/

また、企業でも社会奉仕の一環として地雷問題に取り組むところがある。「白くまくん」アイスで有名な、丸永製菓(本社・福岡県久留米市)は今後、カンボジアでの地雷被害者への義足寄金を設置し、長期的に行っていく予定だ。プロジェクトリーダーの永渕寛司さんはこの寄金について、「おいしいアイスを作るだけじゃなくて、社会に貢献していく会社になろう。そういう方向に会社を向けようとして発足しました」と話す。


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